偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「こっちは計画遂行中なのに、李亜は再就職の話なんかしてくるから焦ったぞ」

「だって、話してくれなきゃわかりません」

初めからそのつもりなら、あんな喧嘩みたいなことはしなかった。
いや、そもそも就職活動だってしなくてよかったのだ。

「俺は言ったぞ、引き抜きの意味も兼ねて結婚した、って」

そういえば、初めてラウンジに行ったときに言っていた。
私の素性を訊かれて答えながら。
でも、それがこんな意味だとか思いもしない。

「李亜こそ、俺のパートナーにふさわしい」

そっと彼に抱き締められ、香水の匂いが鼻腔をくすぐる。

「李亜はいままで頑張ってきたんだから、これくらいのご褒美もあっていいはずだ」

私を包む香りと、その台詞がいつかの記憶と重なった。

「……もしかして、結婚式よりも前に会っていますか……?」

メインのお茶碗が割れるなんてトラブルがあのお茶会の日。
終わって気が緩んだのか、疲れていたのか熱が出てふらふらしていた私を助けてくれた人がいた。
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