偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「これは俺が振り出した小切手だから大丈夫だ。
李亜はこれで、自由になればいい」

強い意志を込めて彼が、私を見つめる。

「いつ、李亜に渡そうか迷っていた。
取締役就任は慰謝料みたいなもんだ。
仕事で俺と顔をあわせるのは嫌かもしれないが」

そんなことを言いながらも、彼の瞳は不安そうに揺れていた。

「なに、莫迦なこと言ってるんですか」

「李亜!」

彼の目の前で、小切手をふたつに破く。
彼は慌てているがさらに重ね、四つ、八つと細かくしていった。

「二千万ってけっこう、軽いんですねー」

手のひらの上にのせたそれにふーっと息を吹きかければ、面白いくらいにパラパラと散っていく。

「なにやってるんだ、お前!?」

「いいですか、私はあなたに買われたんです」

「だから!」
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