偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
……眼鏡ってかけたまま、キスできるんだ。

妙に冷静なあたまで、そんなことを考えていた。
目を開けたままの私の唇に彼の唇が触れる。

「……誓った、からな」

離れ際、彼がぼそっと呟いた。
思わず顔を見上げたけれど、真顔でなにを考えているんだかわからない。

彼に手を取られ、退場する。
女性から注がれる、羨望と嫉妬の視線。
わからなくもない、こんな男が夫ならば。
しかしながら彼は替え玉で、彼女たちは無駄なことをしているのをまだ知らない。

披露宴会場まで車で移動する。
ベリーヒルズビレッジにあるホテルを選んだのは、詐欺師の彼だ。
きっとそれで、自分が大会社の社長だと納得させたかったのだろう。

「で。
あなたは誰なんですか?」

移動はホテルのプランでリムジンだった。

「誰って、鈴木二郎だか?」
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