偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「……あ」

口紅を塗り直してもらいながらふと気づく。
教会でした、アレ、は私の……ファーストキス、だ。
いや、前にしたことがある気もするが、あれはたぶん夢だと思うし。

「ああああああぁぁぁぁぁぁー」

途端に口から、止めどない後悔が漏れていく。
おかげでその場にいた全員がびくりと身体を震わせ、私に注目した。

「なんだ、変な声出して」

先に準備を済ませ、携帯をいじっていた鈴木氏(仮)が顔を上げて私を見る。

「な、なんでもないです、なんでも」

とりあえずなんでもないと笑って誤魔化す。

「そうか?」

それ以上はなにも言わず、また彼は携帯の画面へ再び視線を落とした。

「……はぁっ」

気づかれないように小さくため息をついたら、鏡の中の私と目があった。
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