偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「……仕方なかったんだし」

結婚式で誓いのキスを拒否する花嫁など、なにかあったのだといっているのも同然だ。
もうこれは、犬に噛まれたのだとでも思って忘れるしかない。

「ほんと、最悪」

詐欺師の彼はけじめなのか最後の良心なのか、私の身体には手を出さなかった。
結婚するまでは清い関係でいよう、なんて言って。
さっさと出してくれていれば、こんな後悔は……それはそれで、していたか。

「なんか言ったか?」

鈴木氏(仮)が携帯をしまって立ち上がる。

「なにも!」

ぐだぐだ続く後悔を振り払うように、勢いよく私も椅子から立った。

披露宴会場のドアの前で、鈴木氏(仮)とふたり並んで合図を待つ。

「よく似合ってるな、そのドレス」
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