偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
ニヤリ、と彼は右頬を歪ませた。

「そうですね」

最初からそのつもりなら、先に言ってほしい。
……それでもやっぱり、あけるのは怖かったと思うけど。

「ちょっと痛いが、李亜はこの何倍もの痛みに耐えてくれたんだもんな。
ありがとう、李亜」

彼の顔が近づいてきて、ちゅっ、と唇が触れる。
とても愛おしそうな顔で。
処女で痛い思いをさせたから代わりに、なんて考える男がいるだなんて思わない。
これは御津川氏が特別変わっているんだろうか。
でもそうやって気遣ってくれるのは少し、……嬉しくもある。

「別に、それは……。
そういえば、ご両親にこの結婚は話してあるのですか」

ほんのりと熱い顔で、話題を変える。
ご両親は反対していないんだろうか。
こんな、詐欺にかかって一文無しになるような、間抜けな女との結婚なんて。

「両親は放任主義なんだ。
俺が人として間違ったことをしない限り、なにも言わない」
< 65 / 182 >

この作品をシェア

pagetop