偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「あ、あの」

「ん?」

ちょいちょいと袖を引いたら、御津川氏は首を傾け、顔を近づけてくれた。

「どうして、私の勤め先とか営業成績だとか知ってるんですか」

彼から訊かれたことも、そんな話になったこともない。
もっとも、勤め先については結婚式の出席者でわかるだろうけど。

「結婚相手のことくらい、調べるに決まってるだろ」

確かに前に、披露宴の間に砺波さんに調べさせた、とか言っていた。
これもその一環なんだろうか。

「それよりほら、みんな李亜を見ている。
今度はあっちだ」

軽く手を引っ張られ、彼に連れられて歩きだした。

御津川氏に連れられ、ラウンジの中を回る。
談笑している彼の隣で、笑顔を貼り付けて立っていた。
主に私に話題だがときどき、株や経済の話になる。

「こんな話は退屈ですか?」
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