偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
ひとしきり笑って気が済んだのか、通りかかったボーイのお盆からグラスをふたつ取り、ひとつを私に渡してくれた。

「よかったんですか、あれ……?」

大人げなかったと思わなくもない。
でも、ただの無知な一般女性と莫迦にされるのは鼻持ちならなかった。
それにいままでだって少なからずいた人たちのように、生意気な女性と思われていないだろうか。

……特に、御津川氏から。

「いいんだ、俺はそういう李亜に惚れて結婚したんだから」

「……え?」

思わず顔を見たら、レンズ越しに目があった。
一瞬、しまったという顔をしたあと、誤魔化すように彼は一気にグラスの中身を呷った。

――それって……。

「御津川さん、こんばんは」

「こんばんはー」

私が口にするよりも早く、やってきた若い女性ふたりが御津川氏の両側から腕を取る。
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