偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
華奢、だけど弱々しいわけじゃない。
真のあるしなやかさを持った、美しき――黒豹。

「ここのボスの、東峰(しずか)さんだ。
……こい」

私の手を掴み、御津川氏は人をよけてつかつかと勢いよく歩いていく。
その先ではすでに、ソファーに座った東峰さんに何人もの人がかしずいていた。

「こんばんは、東峰さん。
妻の李亜を……」

あきらかに年下の彼の前で、御津川氏は跪いた。
私も慌てて、その隣に腰を落とす。
しかし、すぐに彼の言葉は東峰さんによって遮られた。

「これは御津川さん。
毛色の変わった猫を連れているともう、随分話題になっているようですね」

足を組み、軽く握った拳を口に当てた東峰さんが、くつくつとおかしそうにのどを鳴らして笑う。
一瞬、なにを言われているのかわからなかったが次の瞬間、自分のことだと気づき、カッと頬に熱が走った。
要するに私は、血統書付きの猫に混ざった、雑種だと笑いたいのだ。

「……東峰さん」
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