オフィスラブはじまってました




「あー、いい匂いですね~。
 コトコト煮込んでるときの匂いって、なんでこんなにいい匂いなんですかね」

 ひなとと柚月はひなとの部屋の庭先で、煮込まれている玉ねぎを見つめていた。

 ソロキャンプセットのはずなのに、折り畳みの椅子がふたつ入っていたので、それにふたりで腰掛け、小さな鍋を囲んでいる。

 椅子のうちひとつは、色がくすんでいたので、古いのとそこそこ新しいの、両方いらなくなったので、一緒に入れてくれていたようだった。

 柚月が古い方の椅子に座ろうとしたので、
「あっ、いいですよ、私がそっちで」
と言ったのだが。

「いい。
 腐食してるわけじゃないから、俺が乗っても落ちないだろ」
と言ってくれる。

「あ、ありがとうございます」
と恐縮しながら、ひなとは落ち着かない感じに比較的新しい方の椅子に座っていた。

 やっぱり、ちょっと申し訳ない気がしたからだ。
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