オフィスラブはじまってました
風が気持ちいいので、窓を開けて本を読んでいた柚月は、隣の部屋の窓が軋みながら開く音を聞いた。
澄子が言っていた隣の部屋の住人がやってきたのだろう。
「庭、いいですよねー。
庭で、なにか作ってもいいですか?」
「ああ、畑でも花壇でもブランコでも好きなものを作りな」
「いやあ~、ブランコはさすがに。
あ、でも、ちっちゃいベンチとかいいですよね~」
気のせいだろうか。
隣から、ジャンガリアンハムスターの声が聞こえてきている気がするんだが……。
あのとき、トイレで不思議な話をしていたハムスターだ。
若い女性の声なんて、みな同じようなものだろうとも思ったのだが。
そういえば、あのハムスター、アパートを焼け出されたとか言ってなかったか?
と思い出す。
柚月の頭の中で、備品倉庫で寝袋に入り、バナナを食べていたハムスターが、がらんとしたなにもない隣の部屋に移り、やっぱり寝袋に入って、バナナを食べていた。
……お前、バナナ、何本持ってんだ、
と柚月は妄想の中のハムスターに突っ込む。