幸せになりたくて…… ~籠の中の鳥は自由を求めて羽ばたく~
「――そっか……。里桜ん家大変だったんだな」
「うん。借金のことがなかったら,あたしもあんな人なんかと結婚してなかったよ。あたしになんの関心もないくせに,束縛だけはひどいんだもん」
「……だよな。今どき,借金のカタに嫁に行くって何なんだって感じだよ。時代錯誤もいいとこだよな」
「もう,ホントだよねー!」
あたしは大智と話しながら,ヤケ酒代わりに少し冷めたラテを呷った。
今,いつの時代よ!? 令和だよ!? こんなの,戦時中までの話じゃないの!?
……と,ぷりぷり起こっているあたしに,大智が意外なことを言った。
「ゴメンな,里桜。親父さんの借金のこと,オレがもっと早く知ってたら何とかできたかもしれないのに。お前だって,好きでもない男と結婚する必要なかったのにな」
「…………えっ?」
「オレが代わりに借金返せたかも,っつってんだよ。お前を人質にとるようなセコいやり方しないでさ」
あたしは耳を疑った。……大智,今何て!?