はつ恋。
――パンッ!


話をしている隙にあっちゃんが1発目を打った。

玉は100円で3発。

そのうちの1発が突如放たれてしまった。


「くっそ~!外した~」

「湯井、オレが取ろうか?」

「いい。自分で何とかする」


あっちゃんは頑なに拒み、銃を構えるとすぐさま打った。

しかし、快い音が鳴っただけで、玉は景品にかすりもしていなかった。


「もぉ、ムカつく!」

「湯井、落ち着けって」

「落ち着けないって!だって絶対ほしいもん!」

「湯井のほしいやつって何だよ?」

「わっかんないの?あれに決まってるでしょ!」


あっちゃんが指差したのは、まさかの一番大きな熊のぬいぐるみだった。


「あれは3発全部命中させて、徐々にずらしていかないと無理だな」

「うっさい!やってみなきゃ分かんないっ!」


――パンッ!


あっ...。


――カタン...。


「おめでとう。はい、どうぞ」


あっちゃんが当てたのは、まさかのチョコボールだった。


「うそ...ショック」


あっちゃんは茫然と景品を見つめる。

どんな言葉をかけたら良いか分からない。


「もっかいやるか?」

「大丈夫。諦める」

「あっちゃん...」


私があっちゃんの背中に手を乗せた、

その時。


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