はつ恋。
しばらくのんびりと歩き続け、到着した先は神社の境内。

この影で私達は

口づけを交わした。

あの時の熱も

感触も

まだ思い出せる。

思い出せば胸が苦しくなる。

けど、数秒でぱっと弾けて

甘くて淡い色をしたマシュマロみたいな感情が溢れる。

溢れて、

通って、

私になる。

私がその感情の体現者なんだ。


「日奈子、喉渇かない?」

「ふふっ。実はちょうどカラカラ」

「ここでゆっくりしよ。飲み物買ってくるからちょっと待ってて」

「うん」


私はあの日と同じ場所に腰を下ろした。

変な人に追いかけられて走って

もうダメだと思った時にヒーローが現れて

私の心ごと

持ち去ってくれた。

ここに座って荒い呼吸を繰り返して見上げると、有馬くんがいたんだよね。

そして、その後...


< 149 / 165 >

この作品をシェア

pagetop