悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「ハルディール夫人のご希望だ。ティーナならば、ターナジアの事情にも詳しいだろう。だから、他の侍女を連れていくより、ティーナに同行してほしい、とね」

 父の表情からは、気が進まないというのが伝わってくる。皇帝の命令には逆らえないからしかたないのではあるが。

(侍女として必要とされているというより……あちらで、私に何かするつもりと考えた方がよさそうね)

 そういう事情ならば、断るという選択肢はなかった。

「わかったわ。お父様。私、ハルディール夫人のお供をする。嫌だと言ってすむ問題でもないだろうし……」
「――すまない」
「いいの。私が、自分で決めたんだもの」

 またもや父の手が背中に回される。レオンティーナを案じているのが、その力の強さから伝わってきて、胸が締め付けられるようだった。

 出立の用意は慌ただしく整えられた。
 出発当日。ルイーザとヴィルヘルムはレオンティーナの見送りに来てくれた。彼と共にターナジアを訪れたのが、つい最近のことのように思える。

「お兄様がじっくり別れを惜しみたいでしょうし、私は遠慮するわね。これ……お守り。たいしたご利益はないかもしれないけど」

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