可愛くないから、キミがいい【完】






しばらく沈黙が流れ、ノイズの音だけが電話口から聞こえてくる。

なんだかそれに耐えられなくて口を開いてみたけれど、結局、言葉をのせることはできなかった。



『明日、俺はけっこう楽しみ』

「………は、」


突然、予想外なことを言った和泉しゅうのせいで。



中途半端に開いていた唇を一度ぎゅっと結ぶ。

一呼吸置いて、「みゆは、別に」と返事をする。

そうしたら、また鼻で笑うような音が聞こえてきた。

何にも面白いことなんてないのに、笑うなんてやっぱり最低最悪だ。



何か文句でも言ってやろうと思っていたら、『じゃあ、寝るから。切る』と一方的な言葉に続いて、すぐにプツン、と電波が途切れてしまう。

ツーツーと虚しい音が、それに続いて規則正しく鳴った。



本当に、ちょくちょく強引で気に食わない。

明日も別に楽しみだなんて思ってない。


だけど、和泉しゅうは楽しみなようだし、楽しませるって言っていたから、1%だけ期待してあげることにする。



残りの99%は、天使の妥協だ。




< 127 / 368 >

この作品をシェア

pagetop