可愛くないから、キミがいい【完】
しばらく沈黙が流れ、ノイズの音だけが電話口から聞こえてくる。
なんだかそれに耐えられなくて口を開いてみたけれど、結局、言葉をのせることはできなかった。
『明日、俺はけっこう楽しみ』
「………は、」
突然、予想外なことを言った和泉しゅうのせいで。
中途半端に開いていた唇を一度ぎゅっと結ぶ。
一呼吸置いて、「みゆは、別に」と返事をする。
そうしたら、また鼻で笑うような音が聞こえてきた。
何にも面白いことなんてないのに、笑うなんてやっぱり最低最悪だ。
何か文句でも言ってやろうと思っていたら、『じゃあ、寝るから。切る』と一方的な言葉に続いて、すぐにプツン、と電波が途切れてしまう。
ツーツーと虚しい音が、それに続いて規則正しく鳴った。
本当に、ちょくちょく強引で気に食わない。
明日も別に楽しみだなんて思ってない。
だけど、和泉しゅうは楽しみなようだし、楽しませるって言っていたから、1%だけ期待してあげることにする。
残りの99%は、天使の妥協だ。