可愛くないから、キミがいい【完】
あの日、泣き顔を見られてしまったこととか、和泉しゅうに言われた言葉とかが蘇ってきて、気まずい気持ちになってくる。
電話で話すのと、実際に顔を合わせるのとでは、全然違うみたい。
目の前の男は、何にも気にしていないみたいで、その差も気に食わない。
99%の天使の妥協に、悪魔みたいな可愛くない気持ちが混じって、こんなことなら二時間くらい待たせればよかった、なんて、自分でもゲンナリするような思考が生まれたところで、和泉しゅうが微かに首を傾げた。
「それ、今日の髪型はどうなってんの」
「見たまんまだけど」
「流行り?」
「あっそう」
「は? 聞いてんだけど。まあ、いいよ。器用なことで」
腕を組んで、感心するように言われても、何にも嬉しくない。
可愛いって言ったらどう、と思うけど、和泉しゅうに言われても、余計に不愉快になるだけだった。
相変わらず、目つきの悪い切れ長の目。
耳元には、リープロイのものではない黒いピアス。
白いシャツにオリーブ色のベストを重ね着して、生地のしっかりしたブラウンのスラックスを履いている。
私の隣に並んでも、恥ずかしくない。平気で余裕の合格点だけど、和泉しゅうだけは、堂々の不合格。受験もされてないけど、勝手に落とし直す。
わざと、値踏みするみたいに、上から下まで見てやる。