可愛くないから、キミがいい【完】
そうしたら、なぜか和泉しゅうは、ほんの少し背を屈めて、のぞきこむように顔を近づけてきた。
ふわり、とサボンの香りが鼻腔をくすぐる。
「何なわけ?」
「悪かったな」
「……それは、電話で聞いたけど」
「いや、ほんとの謝罪は面と向かってが筋だろ」
そう言って、もう一度、謝られる。
急に、そわそわしてきてしまう。
また、謝られるなんて思ってなかった。
そうやって筋とかなんとか言って、ちゃんと謝るような人だとも知らなかったし、別に知りたくもなかったけど、真っ直ぐな誠意をプライドの欠片もなく押し付けられたら、ちゃんと頷くしかない。
「……言っとくけど、みゆも、遅れたことは、ちょっと反省してるもん」
言いたいことがうまく言えない。
かといって、今更、和泉しゅうに可愛さをあげるつもりなんて一つもない。
だから、唇を尖らせるしかない。
和泉しゅうは、そんな私の前で、ふ、と鼻から息を抜くように笑って、また状態を戻した。
それから、ほれ、と手招きをされる。