可愛くないから、キミがいい【完】
「うらやましがられたいのか、距離あけたいのか、結局、お前どっちなの?」
「……どっちも」
「それは、不可能だろ。理不尽の権化か」
こちとら、天使の権化なんですけど。
言い返さずに、繋いだ手の人差し指と親指の先で和泉しゅうの手の甲の薄い皮膚を抓る。
やっぱり、彼は女の子に慣れているんだと思った。斜め後ろからのぞく顔も耳も染まってない。平然とした表情をしている。
こんなことまでしてくれなくても、もっと他にうらやましがられるような振舞いはあるはずなんですけど。
そう思いながらも、きょろきょろと辺りを見渡せば、受け取る目線は、望んでいたものであったから、結局、なんだかんだ満たされてしまい、大人しく手を繋がれたまま、隣を歩くことにした。
和泉しゅうが、二人分のチケットを係の人に渡してくれる。
係の人がいる手前、「わー、ありがとう。優しいね」と可愛く建前だけのお礼を言ったら、盛大に白けた顔をされた。