魔法通りの魔法を使わない時計屋さん
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「どんな魔法かわからないので何が起きるかわかりません、少し離れていてください」
準備を終えたリリカは、魔法陣の中央に置かれた金の懐中時計に指先で触れた。
彼は言われた通りにカウンターから少し離れてからごくりと喉を鳴らす。
リリカは一度深呼吸をしながら目を閉じ、次に開いたときには魔女の目つきになっていた。
「――魔女リリカ・ウェルガーの名において命じます。誰その呪縛から解かれ、私に従いなさい」
カタカタと懐中時計が揺れ出したのをピゲはカウンターの端っこからおっかなびっくり見ていた。
「解!」
途端、パンっと短く破裂音がした。
「――え?」
それとほぼ同時、リリカが発した小さな声をピゲの耳は確かに聞き取っていた。
「……解け、ました」