先生がいてくれるなら②【完】
病院に着くと、私は重い足を頑張って動かし、彼女のいる病室へ急ぐ。
正直言って、怖い。
彼女に何を言われるだろうかとか、光貴先生が藤野先生の弟だと気付いたらどうしようとか、色々なことが頭の中をグルグルと回る。
一度、病室の前で深呼吸する。
足を動かして病室へ入ろうとするが、それは気持ちだけで、身体が全く言うことを聞いてくれない。
あと一歩が出なくて、私は扉の前で立ち尽くしていた。
私はなんて臆病者なんだろう。
未だに彼女と対峙する決心すらつかない。
与えられた時間を、ただ無駄に過ごしただけ……。
「立花さん」
背後からかけられた優しい声音に少し泣きそうになりながら振り返ると、そこには思った通り光貴先生が立っていて。
一気に、張り詰めていたものが解き放たれて、私の目に涙が貯まる。
「まだ目を覚ましたばかりですから……」
光貴先生の言葉に私は頷いて、どうしても動いてくれなかった足を、やっとの思いで動かした。