身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「そういうところが気に入った。あの日、結婚式のあと、俺に素っ気なく指輪を突き返してきたところも、今夜ここに来たのも仕事だと言い切って簡単になびかないところも。ますます俺のものにしたくなる」

「えぇっ?」

まさかお客さまとしてしか見ていないところに好意を抱かれるなんて、私は仰天しそうになった。

それにあの指輪は川嶺さまのために作られたものだから返却するのは当然で、今夜も本当に仕事でしかないのだ。この状況をどうやって回避すればいいのかわからず、頭が痛くなる。

「私みたいな庶民と結婚しても、高須賀さまのなんの利益にもなりませんよ」

 私は視点を変え、彼の立場から意見を述べた。
彼は苦笑いを浮かべる。

「俺はただ気に入った女と結婚したいだけなのに、ひどい言われ様だな」

「でもっ……」

「あなたは何が不満なんだ? 俺と結婚すれば、ほしいものはなんでも手に入れてやるし、仕事だって辞めていい」

心底不思議そうな高須賀さまに、思わず私の本音に火を点けられてしまう。

「ウエディングプランナーの仕事は、私の生きがいです。何があっても辞めません」
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