身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「お茶淹れますね」

私は菖悟さんの興味を逸らすように声をかけた。

「いい。紗衣は寝てろ。俺がやる。晩ごはんは食べたのか?」

けれど彼は私に代わりにキッチンに立とうとした。

「あ、……まだです」

歯切れ悪く答えると、「なら俺が作ってやる」と男らしく返される。

「いえ、北瀬マネージャーがすぐに食べられるものを買ってきてくれたので、それで十分ですから」

「いいから」

恐縮する私をベッドに寝かせ、菖悟さんはキッチンに向かった。どうやら彼も何か買ってきてくれたらしく、持参した紙袋から食材を取り出すと、我が家の小さなコンロで調理し始める。

料理までさせてしまうなんて、なんだか大変なことになってしまった。

慣れない場所でも彼の手際のよさは健在で、ほんの十五分ほどで野菜やきのこ、卵が入った雑炊が出てきた。

「ほら、食べろ」

ベッド際まで食事を持ってきてくれたけれど、さすがにそれは固辞し、私はラグの上のテーブル前に座る。完全に病人扱いされていることに戸惑いつつ、菖悟さんの心遣いがありがたかった。
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