身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
ここで告白するなんて、菖悟さんはなんて罪作りなのだろう。でもどうしようもないくらい胸が甘く締めつけられた。

「おまえはもうがんばらなくていい。自分の幸せだけを考えろ。両親を思うなら、おまえが幸せになるのが一番だ」

……思いやりがあるのは、菖悟さんのほうだ。

それは、私がかけてほしかった唯一の言葉だった。

一緒に逝ってしまうほど愛し合っていた両親は、自分たちにお金を遣うことはなく、可能な限り私に遺してくれた。

でも私は大学に行けなくてもよかった。だからもっと自分たちのために遣ってほしかった。そうすれば早く結婚式を挙げられたのにと、私は自分を親不孝者だと責め続けていたのだ。

けれどそんな私に、菖悟さんは幸せになることを許してくれた。

「俺がおまえを幸せにする」

ぽろぽろこぼれる私の涙を、菖悟さんはキスで拭ってくれた。

どこまでも私を優しく包んでくれる彼に、私は惹かれているのを自覚する。

私……、菖悟さんが好きだ。

きっとずっと、もっともっと好きになる。

そんな予感がした。

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