その手をつかんで
入室した女性はゆかりさんという名前のようで、瑠奈が明るく挨拶をした。年齢は蓮斗さんと同じくらいかな。
華やかな顔立ちで、着ているシフォン素材のワンピースがよく似合っているが、その上に白衣を羽織っている。
アンバランスにも見えるけれど、ドラマに出てくる女優さんみたいだ。彼女の左胸に付いている名札には『常盤』と書かれていた。
この病院の医師なのかも。
そのゆかりさんと呼ばれた女医は、お兄さんに腕に手を触れて首を斜めにする。
「蓮斗さーん。お時間があったら、カフェで休憩しない?」
親しそうにしているから、お兄さんの彼女なのかもしれない。
しかし、お兄さんはやんわりと腕をはらった。
「申し訳ないけど、仕事中なのでそんな時間はなくて、瑠奈の様子を少し見に来ただけだから」
「えー、残念……でも、顔が見れてよかった。今度食事に誘うね。咲里奈ちゃん、今日もいいお顔してるわね。瑠奈ちゃん、なにかあったらいつでも言ってね」
「はい、ありがとうございます!」
華麗に去っていく彼女を呆然と見たあと、瑠奈に聞く。
「さっきのお医者さんって……」
「小児科の先生なんだけど、院長の娘さんでもあるの。で、お兄ちゃんの花嫁候補のひとり」
「花嫁候補? あ、彼女さんじゃないんですね」
華やかな顔立ちで、着ているシフォン素材のワンピースがよく似合っているが、その上に白衣を羽織っている。
アンバランスにも見えるけれど、ドラマに出てくる女優さんみたいだ。彼女の左胸に付いている名札には『常盤』と書かれていた。
この病院の医師なのかも。
そのゆかりさんと呼ばれた女医は、お兄さんに腕に手を触れて首を斜めにする。
「蓮斗さーん。お時間があったら、カフェで休憩しない?」
親しそうにしているから、お兄さんの彼女なのかもしれない。
しかし、お兄さんはやんわりと腕をはらった。
「申し訳ないけど、仕事中なのでそんな時間はなくて、瑠奈の様子を少し見に来ただけだから」
「えー、残念……でも、顔が見れてよかった。今度食事に誘うね。咲里奈ちゃん、今日もいいお顔してるわね。瑠奈ちゃん、なにかあったらいつでも言ってね」
「はい、ありがとうございます!」
華麗に去っていく彼女を呆然と見たあと、瑠奈に聞く。
「さっきのお医者さんって……」
「小児科の先生なんだけど、院長の娘さんでもあるの。で、お兄ちゃんの花嫁候補のひとり」
「花嫁候補? あ、彼女さんじゃないんですね」