その手をつかんで
それにドレスの値段がどのくらいなのか、まったく見当がつかない。貯金足りるかなとまたお金の心配をしてしまう。

このあと、私は仕事をしながら、ずっとそわそわしていた。

落ち着かないまま夕方になり、蓮斗さんとショップに向かったが、入り口の前で啞然とした。

え、なに、ここ?

お店なの?

童話に出てくるような赤茶色のレンガが積み重ねられた壁に、こげ茶色の屋根。真ん中にある木のドアは重厚そうだけど、センサー反応で開かれた。

中から紺色のワンピースを身にまとった女性が穏やかな笑顔で現れる。開いた口が塞がらない私を横目で見て、蓮斗さんに話しかけた。


「結城様、いらっしゃいませ。どうぞお入りください」

「どうも。明日花、おいで」


蓮斗さんに手を引かれて、身動き出来ずにいた私もそろりと中に入った。玄関の床は大理石のようだったが、廊下から中は足音が響かない絨毯だった。

案内された部屋の中央には、いくつかの木の丸いテーブルと椅子が置かれいて、壁際には色とりどりのドレスが並べられている。


「このたびは、ご婚約おめでとうございます」


スタッフの女性に祝福の言葉をもらい、蓮斗さんは目を丸くした。
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