その手をつかんで
私から伝えられることはないけれど。蓮斗さんはどうだろうか?

蓮斗さんはゆかりさんの言葉を聞いて、眉根を寄せていた。


「ゆかりさん、申し訳ない。早めに結論を出さなかったこちらが悪かったです。常磐院長、申し訳ございませんでした」


蓮斗さんに合わせて、私も頭を下げた。


「いいよ、そんなに謝らなくて。蓮斗くんに気持ちがないのは前からわかっていたよ。ただうちのゆかりが……うん、仕方ない。もっといい相手を見つけよう。ゆかり、行こう」

「はい、お父さん」


このパーティーで良さそうな独身男性に声をかけるようだ。意気揚々とした感じで、挨拶をしていく常磐親子を見て、私たちは息を吐いた。

社長が蓮斗さんの肩に手を置く。


「明日花さんと幸せにならなくちゃな」

「ああ、わかってる」

「明日花さん、今日はお疲れ様。すでに疲れているとは思うけど、もう少し頼むね」


社長から労われて、「はい」と恐縮する。蓮斗さんと結婚すると決めたのは、私だ。

大変な世界に入るのは、覚悟の上。蓮斗さんのためになるなら、がんばれる。
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