その手をつかんで
原因は蓮斗さんがどうのこうのではなくて、私自身の問題。


「とても身勝手だとは思うのですが、私はやはり蓮斗さんにふさわしい相手ではありません。思っているよりも親しみやすい人だなとは感じたのだけれども、やはり私と蓮斗さんは違います」

「なにが違うの? 同じ人間だよ?」

「私、本当は瑠奈とも友だちになれる立場ではないとも思うんです。でも、瑠奈の家のこととかを知らないで仲良くなって、あとから知らされたから……瑠奈がどんなにすごい家の子でも変わらないと思えました。たまにやっぱり違うなと思うことはありますが」

「俺も瑠奈と同じ家に生まれ育ったから、瑠奈と同じように思えない?」

「思えないです」


ハッキリと告げた私に蓮斗さんは深いため息をついた。強情な女だと呆れたかもしれない。それならそれで構わない。

彼は腕組みをして外の景色を見ながら、思いを吐き出した。


「生まれる家を選べるなら、結城家を選ばなかった。でも、どこの夫婦のもとに生まれるかは誰にも選ぶことができない。生まれる前からの運命なんだろうね」
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