その手をつかんで
「明日花、気にしなくて大丈夫よ。お兄ちゃんもね。ふたりがちゃんと顔を合わせるのは初めてだよね？」

瑠奈が確認すると、お兄さんが頷いた。瑠奈が私たちを紹介してくれる。

お兄さんの名前は、結城蓮斗（ゆうきれんと）さん。年齢は30歳で、瑠奈の旦那さんとは友だちだという。

「そうか、瑠奈と同じ大学……何回か話に出てたきれいで、頭がよく、しっかりしているという……」

「そうそう、その子がこの明日花」

「ふむ……」


瑠奈から聞いていた私の情報をお兄さんは思い出してくれたが、実際こんなの？ みたいな感じでまじまじと見られた。

彼の視線にたじろいでしまう。怯む私にお兄さんがハッとした顔をする。


「ごめん、不躾に見てしまって。瑠奈から聞いていたとおりにきれいな子だなとつい……」

「やだー、お兄ちゃん。見とれちゃったの？ 明日花はよく一目惚れされるんだよねー。で、告白されるたびにごめんなさいと丁寧に謝るのよね」


あまり人に知られたくない情報まで瑠奈は暴露してくれる……悪気なく言っているのはわかっていても、これまた返事に困り、苦笑するしかない。
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