オオカミ社長の求愛から逃げられません!
和菓子より甘く
二人で部屋に戻ると、並んで座った。だけど晴くんは頑なに私の手を握って離そうとしない。
「あの、コーヒーでも淹れましょうか?」
「いやいい」
低い声で、一刀両断。きっとよほど心配させてしまったのだろう。こうやって私の存在を確かめる様に、ずっと体を密着させている。
「ごめん、里香。俺がもっとしっかりしていれば、こんな怖い想いさせなかったのに」
晴くんは繋がれた手を解くと、今度は私の頭を抱える様に抱きしめ後悔を口にする。それだけで晴くんの痛みがありありと伝わってきた。
「晴くんのせいじゃありません。それに、本当にニューヨークから飛んで来てくれたじゃないですか」
まさか出発前に言っていたことが、現実になるとは思いもしなかった。
「あと一歩遅かったらと思うと、怖いよ。飛行機の中でも、いてもたってもいられなかった。あんなに正気を失ったのは生まれて始めてだったかもしれない」
落ち着いた口調とは裏腹に、私を抱き寄せる反対側の手には拳が握られている。
そこでふと思った。晴くんはどうしてあの場所がわかったのだろう?
「あの、どうしてわかったんですか? 西園寺さんの仕業だって」
「あぁ、ある人から電話をもらったんだ」
「電話?」
一瞬頭を傾げたが、すぐにピンときた。もしかして…!
「折原くん?」
「そう。切羽詰まった勢いで電話してきたんだ。これまでの件が、全部西園寺さんの仕業だという証拠を掴んだって。それで俺の留守中に何か企んでいるんじゃないかって思って急いで帰国した。そしたら案の定だった。それに、彼女があのラウンジを牛耳っているのは、以前から噂で聞いていたからね」
だからこんなタイミングよく現れたんだ。