オオカミ社長の求愛から逃げられません!


「今日からみんなと一緒に働いてもらう、西園寺さくらさん」
「はっ!? え!? 西園寺さんって、あの? どうしてこの人がここに? ちょっと店長!」

杉本さんが軽くパニックに陥っている。そんな杉本さんを、店長がまぁまぁと宥める。

実はあの事件の後、西園寺は部屋に謝りに来た。

「ごめんなさい」と涙ながらに頭を下げた彼女は、心から反省しているようだった。そして変わりたいと強く言った。

だから私は提案した。西園寺さんがよかったら三日月堂で働いてみないか、と。拒むと思いきや、西園寺さんは嬉しそうに頷いたのだ。

それから店長に話を通し、今日が初出社。晴くんもすごく心配していたけど、最後は私の意志を尊重すると言ってくれた。きっと傍から見たらお人好しかもしれないけど、変わりたいという人を見捨てることなんてできなかったのだ。

「ちょっと、里香ちゃん! いいの?」
「はい。いいんです。もう過ぎたことですし。今日からよろしくお願いします。西園寺さん」

西園寺さんは照れ臭そうに「よろしくお願いします」と挨拶をする。仕事の厳しさ楽しさ、仲間の大切さ。きっと色んな気づきに出会えるはず。

「朝会は以上。今日もよろしくね」

店長の声に、一斉に持ち場に着く。杉本さんはちょっと腑に落ちない顔をしていたけど「ほら、こっちよ」と、西園寺さんに接客の仕方を教えていた。

「さぁ今日もがんばるぞ!」

気合を入れるようにエプロンの紐を絞める。久しぶりの三日月堂の香に胸が弾んだ。

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