オオカミ社長の求愛から逃げられません!
お座敷に上がり中で待つこと数分。ご両親がやってきた。ドキドキしながら頭を下げる。あの日に会った時と同じで、貫禄がすごい。
「親父、お袋、前にも話したように俺は彼女と結婚したいと思ってる」
席につくやいなや、晴くんが話し始める。お義父さんは、難しい顔で晴くんを見ている。
「俺には彼女しかいない。どうか認めてほしい」
二人で頭を下げた。この前二人で頭を下げた時とは違って、今回は心は一つ。一緒になりたい。認めてもらいたい一心だ。
「晴久、まったくお前というやつは。もっと従順な男だと思っていたが」
「今回だけは、どうしても譲れない。俺は里香を愛してる。家同士の繋がりに頼らなくても、この家も必ず守ってみせる」
お義父さんを真っ直ぐ捉える晴くんは、これまで見た中で一番真剣な顔をしている。凛としていて、姿勢が綺麗で、男らしい眉目はぴくりとも動かない。
するとお義父さんが、ここに来て初めて私を見た。
「藤堂さん。晴久は今後八神家を継ぐ人間だ。苦労の方が多いかもしれない。君は一緒に担う覚悟はあるのかい?」
「もちろんです」
「もし私がここで、晴久を勘当するといったらどうする?」
「そ……それは」
……もしかして、そのつもりなのだろうか? ますます不穏な空気になる。