オオカミ社長の求愛から逃げられません!

20時ジャストにタイムカードを切ると従業員専用通路を走った。

1時間も待たせてしまって申し訳ない。怒ってないかな……。ちょっと不安になりながら出口を開くと、黒いセダンの前に立つ八神社長がいた。

「あの、すみません遅くなって」
「全然。待ってる間も里香のこと考えてたから楽しかったよ」
「そ、そうですか」

そんなこと言われても、どう返していいかわからないよ……。

いちいち狼狽えて、免疫がないのがバレバレだろうな。

「行こうか。乗って」
「はい」

八神社長がドアを開けてくれ、おずおずと乗り込む。中はふんわりとシトラスの香がして、革張りのシートが心地よかった。こんな高級車。今まで乗ったことない。

運転手さんに住所を伝えると、夜の街中を颯爽と走り出した。隣には機嫌がよさそうな八神社長。こんな経験初めてで、どう振る舞うのが正しいのか、それすらわからない。


< 31 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop