オオカミ社長の求愛から逃げられません!
家に入ると、お父さんとお母さんが二人でキッチンに立っていた。仲良く並ぶ二人の背中に声をかける。
「あの、お母さん、お父さん……」
「あらおかえり、里香。今ねお父さんと餃子作ってたのよー」
いつもの変わらない様子のお父さんとお母さん。二人は昔から仲良しで、よくこうやって一緒に料理をしている。
「あの、二人ともちょっといいかなぁ」
「どうしたんだ? 里香。そんなに改まって」
お父さんが、餃子を包みながら振り返る。そこに八神社長が、リビングのドアをくぐるようにして入ってきた。
「こんばんは、突然申し訳ありません。八神と申します」
「えっ!? り、里香! どういうこと?」
素っ頓狂な声を上げるお母さん。お父さんは餃子を落としたことにも気づかず、目を丸くして固まっている。
「送ってもらってそれで、挨拶したいって」
「それはそれは、ありがとうございました。うちの娘がお世話になりました」
お母さんが平然を取り戻し深々と頭を下げる。
八神社長も、綺麗なお辞儀で頭を下げていた。異質な光景に、苦笑いを零すしかできない。