オオカミ社長の求愛から逃げられません!


「あの、それで娘とは……」

お母さんが聞きずらそう切り出した。

「里香さんには、結婚を申し込んでいます」
「け、結婚!? 里香、そうなの?」

お母さんが私の肩を激しく揺さぶる。

「どうしましょう! お父さん! 里香が結婚ですって!」
「あぁ、おぉ、」

混乱しているのか、お父さんは言葉が出ない様子。悠太はその傍らで、ニヤニヤと笑っていた。

「あの、立ち話もなんですしよかったら餃子を……」
「お母さん、八神社長に餃子なんて……」

こんな庶民的なごはん、口に合うはずがない。きっといつもシェフが作ったものとか、高級店のものしか食べないのだろうから。

「いいんですか? ではお言葉に甘えて」
「ちょ、八神社長。無理しないでください。それに車待たせてますし」
「彼には帰ってもらうからいいんだよ。それに、里香の家族と食事できるなんて願ってもないチャンスだ」

こそっと耳打ちされ、カァッと熱くなる。それは本音なの? 

でもこの築20年の家や、軽薄な両親を見ても見下しているわけではなさそう。それは彼の目を見ていると、なんとなくわかった。



< 35 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop