オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「あの、それで娘とは……」
お母さんが聞きずらそう切り出した。
「里香さんには、結婚を申し込んでいます」
「け、結婚!? 里香、そうなの?」
お母さんが私の肩を激しく揺さぶる。
「どうしましょう! お父さん! 里香が結婚ですって!」
「あぁ、おぉ、」
混乱しているのか、お父さんは言葉が出ない様子。悠太はその傍らで、ニヤニヤと笑っていた。
「あの、立ち話もなんですしよかったら餃子を……」
「お母さん、八神社長に餃子なんて……」
こんな庶民的なごはん、口に合うはずがない。きっといつもシェフが作ったものとか、高級店のものしか食べないのだろうから。
「いいんですか? ではお言葉に甘えて」
「ちょ、八神社長。無理しないでください。それに車待たせてますし」
「彼には帰ってもらうからいいんだよ。それに、里香の家族と食事できるなんて願ってもないチャンスだ」
こそっと耳打ちされ、カァッと熱くなる。それは本音なの?
でもこの築20年の家や、軽薄な両親を見ても見下しているわけではなさそう。それは彼の目を見ていると、なんとなくわかった。