オオカミ社長の求愛から逃げられません!

ホットプレートを囲み、大量の餃子を一気に焼く。これが我が家流。部屋には煙が蔓延している。

そんな中、八神社長もニコニコと座っていた。ミスマッチすぎる絵面に、申し訳なさが募る。
だけどお父さんもお母さんお上機嫌で、八神社長を質問攻めしていた。

「だけど、社長さんがどうしてうちの里香なんかを」
「店頭で働いている姿に一目惚れしてしまいまして。笑顔の素敵な娘さんですよね」
「まぁ、一目惚れだなんて。里香、あんたやったわね」

お母さん……。恥ずかしいよ。

「さぁさぁ食べてください。皮から作ったからモチモチで美味しいですよ」

ほろ酔いのお父さんが顔を真っ赤にさせながらすすめる。

さっきまで上半身裸だったが、さすがに恥ずかしいと思ったのか、いつの間にかシャツを着ていた。我が家の醜態をさらしまくりで、本当に恥ずかしくなる。

でもこれでよかったのかもしれない。身分が違いすぎるって、わかってくれただろう。

あの貫禄溢れる八神社長のお父さんと、うちのお父さんは、月とすっぽん以上にかけ離れている。

きっと八神社長のお父さんは、瓶ビールを飲みながら、ランニングで餃子なんか食べないはず。現実を知って目が覚めたかも。


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