オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「だけど消毒は必要だろうな」
「え?」
目を瞬かせているうちに、晴くんが私をそっと抱き寄せた。
「あっ、こ、コーヒーが……!」
「抵抗できなくてちょうどいいだろ?」
「……なっ、」
「動くと溢れるよ?」
なんて策士。
だけど、凍りそうだった心が、みるみるうちに溶かされていく。雅樹に触れられたところがどんどん上書きされていく。
気が付くと、私は雅樹とのことを晴くんに話していた。晴くんは黙って聞いてくれた。
幼かったころの恋愛を今も引きずっているなんて、馬鹿にされるかもしれないと思っていたけど、晴くんは決してしなかった。むしろ、優しく頭を撫でてくれた。
あー、私はずっとこの手が欲しかったのかもしれない。過去の私もすべて受け入れてくれる、この手が……。