オオカミ社長の求愛から逃げられません!



「見せてくださいよー」なんて押し問答する私達の傍らでは、折原くんが無言でパソコンをカタカタと操作している。確か折原くんは工学部だって言っていたっけ。

「ねぇ、折原くん。何見てたの?」

二人に聞いてもダメだと思い、必死に遮ろうとする杉本さんたちの間を縫うように、声をかける。すると折原くんが椅子をくるっと反転させ言った。

「お店のHPに、藤堂さんを悪く言う書き込みがきてるんです。それもかなりの数の」
「えっ!? 書き込み?」

それを聞いて、サーっと頭が真っ白になった。私に関する書き込みって……。それって私をよく思っていない人がいるってこと?

「こら! 尊! お前ってやつは!」

固まる私に気が付いた店長が、折原くんを叱る。だけど折原くんは一切顔色を変えず、再び口を開く。

「本人に隠すのはよくないと思いますよ。近くにこれを書き込んだ犯人がいるかもしれないわけですから。現に、接客がなってないっていう書き込みもあります。きっとここに来たことのある人間ですよ。藤堂さんがきちんとこの事実を知って、自己防衛する必要があります」

いつになく饒舌な折原くんに、店長が渋い顔で頷く。

「だからってな、物事にはタイミングってものがあるだろ」
「そんなの見計らう必要はないと思いますけど。そんなことをしている間にもこれを書き込んだ犯人を見つけるべきです」

そして店長をあっさり論破した。普段何を考えているかわかりずらいが、彼はかなりの切れ者だ。



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