オオカミ社長の求愛から逃げられません!


「自由に使っていいとのことです」
「え! そんな、受け取れません」
「どうか受け取ってください」
「で、でも……」

人様のお金を勝手に使うなんてできない。付き合っているとはいえ、まだ数日だし、そこまで甘えるわけには。

「お言葉ですが、仕事もできない状況ですし、金銭的な余裕はないかと」
「その通りなんですが……でも気が引けます」
「あなたが社長を頼れば頼るほど、社長は喜ばれると思いますけどね」

……そんなものなのかな。

こんな風に誰かに甘やかされるのは慣れていなくて、どうするのが正解か正直わからない。長女だから我慢することのほうが多かったし。最初の彼氏はあんなんだったし。

「……じゃ、じゃあ一応受け取っておきます」
「ありがとうございます。では私はこれで。何かあれば外にいるSPか私にご連絡ください」

淡々とそう告げると日野さんは部屋を出て行った。

なんていうか、日野さんってロボットみたい。こんな風に話すのは初めてだけど、クールな表情を崩さないし、ぴくりとも笑わない。あれが秘書ってやつなのかな。


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