オオカミ社長の求愛から逃げられません!

それからこの広い部屋で何をするわけでもなく、ただひたすら時計と睨めっこしながら過ごした。時刻は17時。ここにきて約4時間ほどになるが、テレビにもすでに飽きたし、スマホをいじるにも限界がある。

とりあえず夕飯の支度でもしようと思い立ち、勝手にキッチンを物色する。

だけど料理に使えそうなものがあまり入っていない。男の人の一人暮らしというのは、かなり栄養が偏っていそうだ。

できることなら、スーパーに行きたいけど、あのSPが付いてくるのかと思ったら行くに行けない。悪目立ちしすぎる。仕方なくあり合わせで料理を始めた。

冷蔵庫にあった材料でささっとフライパンを振る。物の数分でできたのは、オムライスと野菜スープ。それときゅうりとツナをマヨネーズで和えただけのサラダ。

「上出来、上出来」

テーブルに並ぶそれを見下ろしながら独り言を零す。当たり前だがそれに対する返事はない。聞こえるのは秒針の音だけ。いつも賑やかなのもあり、余計に寂しく感じる。

そういえば晴くんも、立地はいいが、寂しいものがあるってここに初めて来たとき言っていたっけ。晴くんはいつもどんなふうに過ごしているんだろう。冷蔵庫の中を見る限り、生活感があまりないし、自炊しているとは思えない。


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