オオカミ社長の求愛から逃げられません!
仕事ばかりで、ちゃんと息抜きはできているんだろうか。ストレスは発散できているのだろうか。いない晴くんを思い浮かべ、ふと心配になる。
「よし、とりあえず食べよう。いただきま……」
手を合わせたところで玄関のほうからガタンと音がした。ん? 誰か来た? 日野さんかな?
そんなことを考えている間にも、どんどん足あとが近づいてくる。
「里香!」
だが目の前に現れたのが想像とは全くの別物で、思わずスプーンを落としてしまった。
「は、晴くん? どうして? 今日は夜中になるって」
「商談が思ったより早く終わったんだ。会食は取りやめて急いで帰ってきた」
その名の通り、晴くんの額にうっすらと汗が滲んでいて、息もあがっている。
「里香、大丈夫だった? 何もなかった?」
「は、はい。大丈夫でした」
「そう。よかった」
言いながらダイニングテーブルに座る私の頭を抱き寄せる。トクトクと晴くんの心臓の音が間近で聞こえる。その音にキュンとしてしまう。
「もしかして、心配で帰ってきたんですか?」
「うん、そう。悪い?」
言いながら、困ったように眉根を下げる。その顔も綺麗で思わず見惚れてしまう。
「なんか、美味しそうな匂いがする」
「オムライスです。勝手にキッチンをお借りして作りました。一緒に食べますか? って言っても一人分しか作ってないんですが」
「じゃあ半分こしようか」
いつもの優しい笑顔を浮かべながら、ストンと隣に腰を下ろす。半分こって、なんか可愛い。
というか、いきなり手料理を振舞うことになるなんて。やっぱり買い物に行くべきだったな。