オオカミ社長の求愛から逃げられません!
だけどそんな私の心配をよそに、晴くんはさっそくオムライスをスプーンですくっていた。
「うん、うまい!」
口に一杯に詰め込んだまま、子どもみたいな無邪気な顔をするものだから、思わずほっこりしてしまう。
いつも凛としている晴くんだけど、こんな顔もするんだ。
「今度はもっとたくさん作りますね」
「楽しみにしてる」
それから二人で一つのオムライスを分けあった。晴くんは終始嬉しそうで、その顔を見ているとほかほかとした気持ちになった。
「帰ってきて誰かいるっていいな」
食器を洗っていると、晴くんがしみじみとした様子でつぶやいた。
「明日も頑張ろうって気持ちになる」
「こちらこそ置いてもらってありがとうございます。何から何までお世話になりっぱなしで」
「好きな子を守りたいと思うのは当然のことだよ」
ふいに放たれた言葉に、かぁっと熱くなる。こんなに想ってもらって私は幸せものだ。
と、同時に私も何か返したいという感情が芽生える。
「あの、もしよかったら家事と食事の用意だけは私にさせてくれませんか?」
「そんなの、気にしなくていいよ。エステ行ったり、ショッピングしたり、好きに遊んできていいんだよ?」
「いえ、みんなに迷惑かけている身だし、それにそういうのは元々疎いので……」
今まで地味に質素に生きてきたから、遊び方もわからない。エステとかもはや未知の領域だし、ショッピングといっても欲しいものもないし。
それに今のままで十分満足だ。誰かに想ってもらえることがこんなにも尊くて、温かいんだって知ってしまった私に、他に欲しい物なんてない。