オオカミ社長の求愛から逃げられません!
40分ほどで戻ってきた晴くんと一緒に朝食を囲む。シャワーを浴びスーツに着替えた彼は、いつもの社長の顔になっていた。
「美味しそう。こんなちゃんとした朝食久しぶり」
「お口に合うかわかりませんけど」
「ううん。里香が作ってくれたってだけで嬉しいよ。いただきます」
嬉しそうに手を合わせると、まず厚焼卵に手を伸ばしていた。
「ん、うまい」
「本当ですか? よかった」
「やばいな、俺今すごく幸せだ」
「また大袈裟ですって」
なんて言いながらも私もすごく幸せかも。今のままでも十分だって思っていたけど、こんな幸せもあるんだって、晴くんに出会って知ってしまった。
今ではこんな時間がずっと続けばいいのにとも思っている。
二人で朝食を食べ終え、私は後片付け、晴くんは出社の準備をしていた。
「あの、何かやっておくことありますか?」
食器を洗いながら、ネクタイを締める彼に問いかける。
「特にはないけど……。あ、じゃあクリーニングを取りに行ってもらえる?」
「はい、わかりました」
晴くんの役に立てると思うと嬉しくなる。というか、ネクタイ締める姿さえかっこいいなんてずるい。目が吸い付いて離れない。