オオカミ社長の求愛から逃げられません!
午前中に掃除を済ませると、晴くんに頼まれたクリーニングを取りに部屋を出る。もちろん、SPの彼らがちょっと距離を取って付いてくる。
人の目は気になるけど、これで晴くんが安心するならと言い聞かせる。
クリーニング屋さんは、オフィスビルのライフサービスゾーンの中にあった。その並びには眼鏡屋さんや美容室などもあって、なんでも揃っていて本当に便利なタウンど改めて思った。まさに憧れの街。
今までまったくといって興味がなかったけど、すっかりこの街の住人になってしまっている。
クリーニングを受け取り、自宅に戻るためエレベーターに乗り込む。すると見覚えのある人が中にいた。西園寺さんだ。
彼女は上から降りてきたらしく、少し露出の高いワンピースを着て、背中まである黒髪を下ろしている。この前晴くんのオフィスで会った時とはちょっと印象が違った。
しかも、汗をかいたような後だと思った。スポーツでもしてきた? いや、この格好だし違うか。
「こんにちは」
彼女と二人きりは少し気まずかったが、無視するわけにもいかず、乗り込みながら声をかけると彼女はハッとしたように顔を上げた。
「あなたは確か、八神さんといた」
「藤堂と申します」
晴くんは彼女とは話が付いていると言っていたけど、やっぱりちょっと顔を合わせづらい。