オオカミ社長の求愛から逃げられません!


「そうだ、良かったら今度あなたも一緒にいかない? 楽しいわよ」

突然のお誘いに目を丸くする。いやいや。どう考えてもおかしな組み合わせだ。

それにその場所には行かないでって晴くんが言っていた。どうしてかは理由はわからないが、VIPならではの遊びが繰り広げられているんだろう。そういう噂も耳にしたことがあるし。

「あの、私はそういうのは苦手なので。すみません」
「あらそう。若いうちは遊んでおかなきゃ損よ。私もいつかは、親の決めたきもい男と結婚させられるだろうから、今のうちに思う存分遊んでおこうと思って」

その発言には哀調が孕んでいるように思えた。やっぱり家柄のあるお嬢様は好きな人とは結婚できない運命なのだろう。それを当たり前に受け入れ、諦めてきた西園寺さんには少し同情してしまう。

「じゃあ私はこれで。八神さんによろしくね」

そう言って西園寺さんはエレベーターを降りて行った。

さっぱりして、案外いい人だな。本当ならイヤミの一つ、言われてもおかしくないはずなのに。彼女の背中を見送りながら、呆然と思った。


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