オオカミ社長の求愛から逃げられません!

杉本さんとの電話を切ると、とぼとぼとマンションへ向かった。

晴くんに相談したいけど、きっとまたすごく心配するだろうな。せっかくSPも外れたところだったのに。それにこれ以上迷惑をかけられない。

はぁぁーーっ、と思いっきりため息を吐きながらエレベーターのボタンを押す。

「でっかいため息ね」

すると、背後から誰かに突っ込まれ驚きながら振り返る。そこにはこの前とは打って変わってラフな格好の西園寺さんが立っていた。

「西園寺さん!」
「どうしたの? そんなため息ついて」
「あ、いや、その……」

猫みたいな目を向け、私の返答を待っている。

こんな風に正面から見るのは二度目だが、やっぱり彼女はすごく綺麗。それに白のサマーニットにデニムという普段着にも関わらず、内面から滲み出る品の良さで、彼女が正真正銘のお嬢様だということがわかる。


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