オオカミ社長の求愛から逃げられません!
晴くんがニューヨークに旅立つ日はあっという間に来た。
「じゃあくれぐれも気をつけて」
「はい。晴くんも気をつけてください。物騒な世の中ですから」
玄関で別れを惜しむ。壁一つ隔てたところには、日野さんが待っているというのに、なかなか離れられない。
私はいつからこんなに晴くんが好きになったんだろう。優しい笑顔も私を大切にしてくれるところも、たまに見せる意地悪な顔も。どれも愛しい。
そこでふと思い出す。そういえば私……晴くんに気持ちを伝えていない。
「じゃあ、里香。行ってくる」
「あの!」
背を向けた晴くんに、弾き出されたように声をかける。
「どうした?」
「あの、私……ちゃんと伝えていなかったなと思って」
「何を?」
「その、晴くんが好きだって」
意を決したように言えば、晴くんが目を丸め私を見下ろす。晴くんの気持ちに甘えて、肝心なことを伝えてなかった。きっと不安にさせていたと思う。