オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「こんな時にすみません。でもちゃんと伝え……ひゃっ」
強引に抱き寄せられ体が浮く。目の前には晴くんの厚い胸板が。
「本当に?」
「ほ、本当です」
「すごく嬉しい。やっと聞けた」
「晴くん……」
「里香、俺も好きだよ」
耳元で囁かれ、かぁっと体中が熱くなる。これだけで体の芯から溶けてしまいそうだ。
「困ったな。ニューヨーク、行きたくなくなってしまった」
「なに子どもみたいなこと言ってるんですか」
「トランクに詰めて連れて行きたいよ」
本気っぽく言うから思わず笑ってしまう。あーもっと早く伝えるべきだった。大好きだって何度も。
「いってらっしゃい、ここで帰りを待ってます」
背中に回す手に力を込めながら言うと、晴くんと至近距離で目があった。そしてそっと口づけられ、それだけで目頭が熱くなった。
「帰ったら続き、していい?」
「はい。たくさんしてほしいです」
そう答えると、再び彼の熱がぶつかった。これだけでこんなにも幸せな気持ちになるなんて……。こんな気持ち、知らなかった。