オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「社長、飛行機に乗り遅れますよ」
そうこうしていると、しびれを切らした日野さんが入ってきた。
「あぁ、わかってる。行こう」
晴くんは名残惜しそうに私を見つめた後、真っ直ぐな姿勢で出ていく。
出る寸前、日野さんが「甘い顔をされて」とぼやくように言う声がつい聞こえてしまったけれど、晴くんにはきっと届いていないのだろう。
「一週間……案外長いな」
二人を見送るとそんな独り言を零して、リビングでとある作業に取り掛かった。
ずっと甘いモードに浸っていたいけど、そうもいかない。私はスマホで雅樹の情報を探し始めた。