オオカミ社長の求愛から逃げられません!


「どうせ暇なんでしょー? 飲もう飲もう」

言いながらずかずかと上がってくる。飲もうって……まだ昼間だけど。それに晴くんが留守中に勝手に上げるのはちょっと気が下引ける。

「西園寺さん、今八神さんが出張でいなくて」
「へ~そうなんだ」

やんわり断るも全く通じていないようで、構わずリビングへ足を進める。かなり強引。というか、全然話を聞く気がない。

「申し訳ないんですけど、留守中に人を上げるのはちょっと……」
「いいでしょ別に。八神さんには仲良くしてやってっていわれてるし」
「そ、そうなんですか?」
「そうそう」

軽く返事をしながら、リビングのソファに勢いよく座る。ワインのコルクをキュッキュッと慣れた手つきで開けると「グラスある?」と催促した。

まさかこんなことになるとは。というか、私あんまり飲めないんだけどな。

「はいどうぞ、グラスです」
「ありがとう。わぁこれ、あの北欧ブランドのグラスじゃん。さすが八神社長、いい趣味してる」

へぇそうなんだ。そういうのに疎すぎて全然わからない。西園寺さんはそういう目をやっぱり持ってるんだな。さすが。


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